2025年10月
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2025.10.06 2025.10.06
賃貸退去時の掃除はどこまですればいい?掃除すべき場所や掃除方法を解説
賃貸物件を退去するとき、多くの人が迷うのが「どこまで掃除すればいいのか」という点です。敷金の返還や大家さん、次の入居者への配慮を考えれば、借りた部屋はきれいに掃除して返し、気持ちよく次の生活へ進みたいものです。 国土交通省の「原状回復をめぐるトラブルとガイドライン」では、借主と大家それぞれが負担すべき掃除の範囲が整理されています。 記事ではその基準をもとに、退去時に入居者が押さえておきたい掃除の範囲と手順をわかりやすく解説します。 目次 1. 退去時の掃除に関する基本知識 1-1. 原状回復義務とは 1-2. 借主が掃除すべき範囲と大家負担の範囲 2. 退去前に必ず掃除すべき場所 2-1. キッチンの油汚れと水垢 2-2. 浴室のカビと水垢 2-3. トイレの黄ばみと臭い 2-4. 床や壁の手垢や汚れ 3. 掃除しなくても問題ない場所 3-1. 経年劣化による変色や摩耗 3-2. 設備の故障や不具合 4. 可能な限り敷金を返還されるためのポイント まとめ 退去時の掃除に関する基本知識 退去時の掃除をめぐるトラブルは、敷金の精算でもっとも起こりやすい問題の一つです。 どこまで掃除すれば十分なのか、誰がどこまで費用を負担するのかをあいまいにしたまま退去すると、思わぬ追加請求につながることもあります。 こうした行き違いを防ぐには、国土交通省が示す「原状回復」の考え方を知り、借主と大家それぞれの役割を理解しておくことが大切です。まずはその基本から見ていきましょう。原状回復義務とは 原状回復義務とは、賃貸物件を退去する際に借主が部屋を「借りたときと同じ状態」に近づけて返す義務のことです。ただし「完全に元どおりに戻す」ことを意味するわけではありません。 「国土交通省のガイドラインでは、通常の暮らしで生じる経年劣化や日焼けなどは大家の負担とされ、借主が負うのは自分の使い方によって生じた汚れや傷の修復や掃除に限られます。 つまり借主は、自らが付けた汚れをきれいに掃除し、故意や過失による損傷を補修して返すことが求められます。借主が掃除すべき範囲と大家負担の範囲 退去時の掃除には、借主と大家それぞれが負担する範囲があります。 「原状回復をめぐるトラブルとガイドライン」では次のように整理されています。 大家が負担するもの:日焼けによる壁紙の色あせ、家具を置いた跡など、普通に暮らしてできる経年劣化や自然な傷み。 借主が掃除すべきもの:キッチンの油汚れ、放置したカビ、タバコのヤニなど、自分の使い方で付いた汚れや損傷。この区分を知っておけば、余計な清掃費を請求される心配を減らせます退去前に必ず掃除すべき場所 退去時の掃除では、特に汚れが目立ちやすく敷金精算にも影響しやすい場所を押さえておくことが大切です。中でも注意したいのは、日常的に水や油を使うキッチンと浴室、そして衛生状態が問われるトイレ。さらに見落としがちな床や壁の手垢や汚れも、残ったままだと印象を大きく損ねます。 これらは借主が自分で落とすべき汚れにあたり、きちんと掃除しておくことで不要な清掃費を請求されるリスクを減らせます。以下で場所ごとのポイントを紹介します。キッチンの油汚れと水垢 キッチンは油汚れと水垢が残りやすい場所です。 コンロ周りや換気扇には調理中の油が飛び散り、時間が経つと固まって落としにくくなります。重曹やセスキ炭酸ソーダをぬるま湯で溶かしたアルカリ性洗剤を使えば、こびりついた油も浮かせやすく効果的です。シンクや蛇口の水垢はクエン酸水をスプレーしてしばらく置き、スポンジでこすりましょう。 普段からコンロは調理後に軽く拭き取り、換気扇は週に一度フィルターを外して洗うなど、掃除の習慣をつけておくと、退去時がぐっと楽になります。浴室のカビと水垢 湿気が多い浴室はカビと水垢が特に目立ちやすい場所です。 天井や壁の黒カビには塩素系カビ取り剤を吹きかけて時間を置き、ブラシでやさしくこすります。パッキンや目地など細かい部分は綿棒や古歯ブラシを使うと効果的です。シャワーヘッドや鏡の白い水垢にはクエン酸水をキッチンペーパーに浸して貼り付け、しばらく置いてから拭き取りましょう。 日常的に入浴後は換気扇を回し、壁や床をサッと水切りするだけでも、退去時に大掛かりな掃除をせずに済みます。トイレの黄ばみと臭い トイレは黄ばみや尿石、独特の臭いが残りやすく、退去時に清掃費用を請求されやすい場所です。 便器のふち裏や水たまり部分には尿石が付きやすく、酸性のトイレ用洗剤をかけてしばらく置き、ブラシでこすり落とします。タンク周りや床のほこり、壁に飛び散った飛沫も忘れずに拭き取りましょう。 普段から週に一度は便器と床を掃除し、使用後は便座を閉めて換気するだけでも臭いの発生を防げます。日常のこまめな手入れが退去時の大掃除をぐっと楽にします。床や壁の手垢や汚れ 床や壁は一見きれいに見えても、手垢や皮脂汚れ、家具の移動跡などが意外と目立ちます。 壁紙の手垢は、中性洗剤を薄めた水を柔らかい布に含ませ、軽くたたくように拭くと傷めずに落とせます。床は掃除機でほこりを取り除いたあと、固く絞った雑巾で水拭きを。フローリングは乾拭きで仕上げると水跡が残りません。 普段からドアまわりやスイッチ付近を定期的に拭き、家具を動かすときは敷物を使うなどの工夫をしておくと、退去時に汚れや傷で慌てずに済みます。掃除しなくても問題ない場所 退去時の掃除では、入居者が手をかけなくてもよい場所もあります。 通常の生活で自然に起こる壁紙の色あせや床の摩耗などは「経年劣化」とされ、借主が修復や掃除をする必要はありません。また、設備の老朽化による故障や不具合も大家が対応すべき範囲です。 これらを無理に手直ししたり、専門業者を呼んだりする必要はありません。国土交通省の原状回復ガイドラインでも貸主負担とされており、入居者は通常の清掃だけで安心して退去できます。経年劣化による変色や摩耗 壁紙の日焼けによる色あせや、家具を長く置いたことでできる床のへこみ、フローリングのすり傷などは、年月を重ねれば誰でも避けられない自然な変化です。これらは借主が補修したり特別な掃除をしたりする必要はなく、国土交通省の「原状回復をめぐるトラブルとガイドライン」でも貸主が対応すべき項目とされています。 漂白や自己流の補修はかえって傷みを広げる原因になるため、退去時は通常の掃除だけを済ませ、気になる箇所は管理会社へそのまま伝えれば問題ありません。設備の故障や不具合 エアコンや給湯器、換気扇などの設備が長年の使用で動きが鈍くなったり故障したりするのも、自然な老朽化によるものです。 こうした設備の修理や交換は大家が負担するべき範囲であり、国土交通省のガイドラインにもその考え方が示されています。 入居者が独自に修理を試みると、費用精算で思わぬトラブルにつながることもあります。退去時に異常を見つけた場合は、自分で直そうとせず管理会社や大家へ連絡し、普段通りの簡単な清掃だけして引き渡せば十分です。可能な限り敷金を返還されるためのポイント 敷金をできるだけ多く戻してもらうには、退去時だけでなく日頃からの管理と最終確認が大切です。 まず、普段から油汚れやカビをため込まないよう定期的に掃除しておくと、退去時の原状回復費用が最小限に抑えられます。 退去が決まったら、壁や床など自分が汚した箇所をチェックし、軽い汚れは早めに落としておきましょう。設備の故障や不具合を見つけた場合は自分で修理せず、管理会社や大家に必ず報告します。 最後に立会い時には、「原状回復をめぐるトラブルとガイドライン」に沿って負担範囲を確認し、不明点はその場で質問を。これらを意識すれば、余計な清掃費用や修繕費を請求されるリスクを減らし、敷金を可能な限り返還してもらいやすくなります。関連記事:敷金はいつどのくらい返ってくる?できるだけ多く受け取るためのポイントを解説まとめ 賃貸物件を退去するときに大切なのは、「どこまで掃除をすればよいか」を正しく理解し、余計な費用を避けることです。 国土交通省の「原状回復をめぐるトラブルとガイドライン」によれば、日焼けによる壁紙の色あせや設備の老朽化など、自然な経年劣化は大家が負担する範囲であり、借主が無理に補修する必要はありません。 一方、キッチンの油汚れや浴室のカビ、トイレの黄ばみなど、日常の使い方で生じた汚れは借主が掃除して引き渡すことが求められます。普段からこまめに手入れをし、退去が決まったら自分が付けた汚れをしっかり確認しておくことで、敷金を可能な限り回収し、次の暮らしへ気持ちよく移ることができます。
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2025.10.02 2025.10.02
賃貸物件の「ハイツ」とはどんな物件?マンションとの違いやメリットについてご紹介
ネットなどで賃貸物件を探していると、「○○ハイツ」という名前を目にすることがあります。ただ、「ハイツ」とは具体的にどんな建物なのか、よく分からない......という方も多いのではないでしょうか。 本記事では、「ハイツ」と呼ばれる賃貸物件の一般的な特徴から、マンションとの違い、そしてハイツに住むメリット・デメリットまでを分かりやすくご紹介します。 自分に合った住まい選びの参考に、ぜひチェックしてみてください。 目次 1. 「ハイツ」とは 2. ハイツ物件のメリット 2-1. 家賃が比較的安い 2-2. 小規模で落ち着いた環境が多い 2-3. 日当たりや風通しがいい 3. ハイツ物件のデメリット 3-1. 遮音性が低い 3-2. 断熱性や気密性に劣る 3-3. 築年数の古い物件が多い 4. ハイツが向いている人の特徴 4-1. 低層階に住みたい人 4-2. 家賃をなるべく抑えたい人 まとめ 「ハイツ」とは 「ハイツ」とは、賃貸物件の建物名称に使われることが多い呼び名の一つですが、マンションやアパートのように法律などで明確に定義されている言葉ではありません。 一般的には、軽量鉄骨や木造で建てられた2階建て程度の低層集合住宅を指すことが多く、名前から受ける印象として「小規模で落ち着いた住まい」をイメージされやすい特徴があります。 そもそも「ハイツ」という言葉自体は、英語で「高台」を意味する"heights"が由来といわれています。日本では、「高級感」や「おしゃれな雰囲気」を演出するために、1980年代以降に建てられた賃貸住宅で広く使われるようになりました。 そのため、実際の立地や構造が「高台」にあるとは限らず、単に物件名の一部として付けられているケースがほとんどです。地域によってはアパートの代わりに「ハイツ」という名称が主流になっているところもあります。つまり「ハイツ」とは、特定の規格を表す言葉ではなく、建物名やコンセプトを表現するための一種の"ネーミング"にすぎません。 賃貸探しの際には、名称にとらわれず、構造や設備、家賃などをしっかり確認することが大切です。ハイツ物件のメリット 上記の通り「ハイツ」という名前のついた物件には、明確な建築基準があるわけではないものの、一般的に、軽量鉄骨造や木造の2階建て程度の集合住宅を指すことが多いとされています。 いわば、おしゃれな雰囲気を演出するための呼称として物件に付けられてきた「ハイツ」ですが、そうした物件に感じられることの多い「良さ」がいくつかあります。 ここでは、ハイツ物件ならではの利点を整理してご紹介します。家賃が比較的安い ハイツ物件の大きなメリットのひとつが、家賃の安さです。 鉄筋コンクリート造のマンションに比べて建築コストが低い木造や軽量鉄骨で建てられることが多いため、同じ広さや間取りでも家賃が抑えられる傾向にあります。できるだけ住居費を抑えたい人にとっては、経済的に大きな魅力となります。 浮いた分の予算を家具や家電、日々の生活費に回すことができるのも利点です。小規模で落ち着いた環境が多い ハイツ物件は小規模な集合住宅であることが多く、住民数も限られています。 そのため、大規模マンションに比べて人の出入りが少なく、こじんまりと落ち着いた住環境が得られやすい点もメリットです。同一物件に暮らす住民が比較的少ないため、「住人同士で顔を覚えられるくらいの距離感に安心感がある」と感じる人もいます。 また2階建て物件の場合、上下左右どこかに必ず他の住戸と接していない面があるため、隣人等へのストレスを感じにくいという面もあります。日当たりや風通しがいい ハイツ物件は低層住宅が多く、周囲に高い建物が少ない立地に建てられている場合も少なくないため、日当たりや風通しの良さが期待できる点も魅力です。 特に2階部分は、マンションの低層階よりも光が入りやすく、明るく開放的な住空間を実現できます。風通しが良ければ室内に湿気がこもりにくく、カビや結露の発生を防ぐ効果も期待できます。 自然光を取り入れながら快適に暮らしたい人や洗濯物を外に干すことが多い人にとっては、特にメリットが大きいでしょう。ハイツ物件のデメリット ハイツ物件には、家賃の安さや日当たりの良さといった魅力があります。しかし一方で、建物の構造や築年数に由来するデメリットも存在します。 住み始めてから「思ったよりも生活しにくい」と感じるケースもあるため、メリットだけでなく注意点も知っておくことが大切です。 ここでは、ハイツ物件でよく指摘されるデメリットを3つに分けて解説します。遮音性が低い ハイツ物件の多くは木造や軽量鉄骨造で建てられているため、鉄筋コンクリートなどで造られるマンションに比べて遮音性に劣る傾向があります。 上階の足音や隣室の生活音、テレビの音などが響きやすく、自分の生活音が周囲に漏れてしまう可能性もあります。特に夜間は小さな物音でも気になってしまい、静かな環境を求める人にとってはストレスになるかもしれません。 生活時間帯が異なる住民が多い建物ではトラブルの原因となることもあるため、入居前に周囲の音環境を確認しておくと安心です。断熱性や気密性に劣る 木造や軽量鉄骨造は構造的に断熱性・気密性が低い傾向にあり、室内の温度が外気の影響を受けやすいのもデメリットのひとつです。 夏は室内が暑くなりやすく、冬は冷え込みが厳しくなるため、冷暖房費が増えてしまうことがあります。また、気密性が低いと隙間風を感じやすかったり、湿気や結露が発生しやすい環境になる場合もあります。 快適な室内環境を保つためには、断熱性の高いカーテンを利用したり除湿機を置くなどの工夫が必要な場合もあります。築年数の古い物件が多い 「ハイツ」という名称は1980年代以降に広く使われるようになり、現在では築30年以上の物件も少なくありません。 そのため、ハイツ物件には築年数が古い物件が多いという現状があります。間取りが現在の生活スタイルに合わなかったり、収納スペースが限られていたりすることもあり、利便性を求める人には不便に感じられるかもしれません。 さらに古い木造物件では耐震性への不安もあります。築年数が古い分家賃が安いという利点はありますが、長期的な住み心地を重視するなら注意が必要です。ハイツが向いている人の特徴 建物の構造やタイプによって、賃貸物件の住み心地は大きく変わります。 その中で「ハイツ」と呼ばれる物件は、木造や軽量鉄骨造の低層住宅が多く、鉄筋コンクリート造等のマンションとは異なる特徴を持っています。 では、どのような人がハイツ物件に向いているのでしょうか。ここでは代表的な特徴を2つに分けてご紹介します。低層階に住みたい人 ハイツ物件の多くは2階建ての低層住宅です。高層階が存在せず、地面に近い生活ができる点が特徴といえるでしょう。 落下事故が心配な小さなお子様がいる家庭や、上下移動が負担になる高齢の方にとっては安心感があります。また、「ゴミ出しが楽」「地震などの災害時に避難しやすい」というメリットもあります。 ハイツ物件はエレベーターのない物件がほとんどですが、逆に「低層階の落ち着いた暮らしをしたい」と考える人には適した環境といえるでしょう。家賃をなるべく抑えたい人 ハイツ物件はマンションに比べて建築コストが低く抑えられることから、同じエリアや広さでも比較的家賃が安い傾向にあります。 そのため、初めての一人暮らしや、出費をできるだけ抑えたい方に向いています。さらに、築年数が経過している物件を選べば、相場よりも安い家賃で広めの間取りを借りられる可能性もあります。 「できるだけ居住コストを抑えて、そのほかのことに予算を回したい」という人には、ハイツは現実的な選択肢となるでしょう。まとめ 「ハイツ」とは、一般的に木造や軽量鉄骨造で建てられた低層住宅を指すことが多いものの、実は法律や建築基準で明確に定められた用語ではありません。 マンションやアパートのように構造や規模で区別されるものではなく、あくまで物件名に使われる"呼び名"のひとつに過ぎません。そのため、「ハイツ」と名前が付いていても、建物の構造や設備は物件によって大きく異なる場合があります。家賃が比較的安く、小規模で落ち着いた環境が多い傾向はありますが、それが必ずしもすべての「ハイツ」に当てはまるわけではありません。 物件探しの際は名前だけで判断せず、築年数や遮音性、日当たり、周辺環境など、実際の条件を確認することが大切です。
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