賃貸物件の築年数はどう選べばいい?重視すべきポイントや年数別の特徴をご紹介
初めての部屋探しでは、「築年数」の見方に迷う人も多いのではないでしょうか。
築年数とは、建物が完成してから経過した年数のこと。一般的に、新しいほど設備や内装が整い、古いほど家賃が抑えられる傾向にあります。しかし、実際には築年数だけで快適さは決まりません。リノベーションや管理状況によって、古い物件でも住み心地のよいケースは多くあります。
この記事では、築年数ごとの特徴や重視すべきポイントを整理し、あなたの暮らしに合った"ちょうどいい築年数"を見つけるためのヒントをお届けします。
目次
賃貸物件の築年数とは
「築年数」とは、建物が完成してから経過した年数のこと。不動産業界全体では、新築として登記された年を基準に算出する方法で統一し、物件情報には必ず明記されています。
築年数は建物の老朽化や設備の更新状況を知る大切な指標ですが、「新しい=良い」とは限りません。築年数はあくまで"住まい選びの目安"と考えるのが賢明です。
築浅・築古とは
賃貸情報でよく見かける「築浅」や「築古」という言葉には、明確な法的基準はありません。不動産業界では一般的に、築5年以内の物件を「築浅」、築20年以上経過した物件を「築古」と呼ぶことが多いです。
築浅物件は、設備が新しく、断熱性や防犯性能も高い傾向があり、内装もきれいで快適に暮らせます。その分、家賃はやや高めに設定されることが一般的です。
一方、築古物件は家賃が抑えられる傾向があり、同じ予算でも広めの間取りや便利な立地の物件が見つかることも。さらに、リノベーションやリフォームによって、新築同様に生まれ変わっているケースも少なくありません。
賃貸物件における築年数別の特徴
築年数とひと口に言っても、築10年以内と築20年以上の物件では、設備や家賃、住み心地に大きな違いがあります。
ここでは、築年数ごとの一般的な特徴をまとめました。新築や築浅のメリットだけでなく、築古物件の魅力や注意点も知ることで、自分の暮らし方や予算に合った物件を見つけやすくなるでしょう。
築10年以内の新しい物件の特徴
築10年以内の物件は、設備やデザインの新しさに加え、快適性と安全性を兼ね備えているのが特徴です。オートロックや宅配ボックス、浴室乾燥機などの人気設備が整い、共用部も清潔に保たれている場合が多くあります。
また、建築基準法の現行耐震基準(2000年改正以降) に基づいて建てられているため、耐震性・断熱性・省エネ性能にも優れています。
その分、家賃はやや高めですが、新生活を始める方や安心感を重視する人にとって、満足度の高い選択といえるでしょう。
築10年〜20年の物件の特徴
築10年〜20年の物件は、家賃と設備のバランスが良いことが大きな魅力です。築浅ほど新しくはありませんが、まだ十分にきれいで、管理の行き届いた物件も多く見られます。
2000年以降の現行耐震基準に準拠しているケースが多く、構造面での安心感も確保されています。
また、築15年前後を境に、リフォームや設備交換が実施されている物件も多く、浴室やキッチンなどの水回りが新しくなっていることもあります。
新築よりも家賃を抑えつつ、一定の快適さを求めたい方にとって、コストパフォーマンスの高い選択肢といえるでしょう。
築20年以上の古い物件の特徴
築20年以上の物件は、外観や共用部分に経年変化が見られることもありますが、家賃を抑えやすいのが大きな特徴です。そのため、同じ予算でもより広い部屋や利便性の高い立地を選べる場合もあります。
また、長くその土地に建っている分、駅近や商業エリアなど、今では新築が建てにくい場所に位置しているケースも少なくありません。
さらに、リノベーションや大規模修繕によって、室内設備やデザインが一新されているケースもあり、新築同様に快適な暮らしを実現していることもあります。
築年数だけで判断せず、管理状態や改修履歴を確認することが、満足度の高い物件選びのポイントです。
築年数で物件を選ぶ場合に重視すべきポイント
築年数を見比べるときは、「数字の新しさ」だけでなく、暮らしにどんな違いがあるかを意識することが大切です。
築浅物件は設備やデザインが整う一方で、家賃が高くなる傾向があります。一方、築古物件は費用を抑えられる分、リフォームや管理の状態によって住み心地が左右されます。つまり、築年数は単なる比較項目ではなく、予算・安全性・快適さのバランスを考えるための指標です。
ここでは、その中でも特に注目したい3つの視点――「予算」「耐震性」「水回りのきれいさ」について詳しく見ていきます。
予算
築年数と家賃には密接な関係があり、一般的に築年数が新しいほど家賃は高く、築年数が古いほど抑えられる傾向にあります。同じエリア・間取りでも、築年数の違いによって数千円から1万円以上の差が生じることも珍しくありません。そのため、まずは「家賃を優先するのか」「設備や築浅を重視するのか」を整理しておくことが大切です。
また、築古でもリノベーションが施されていれば、コストを抑えながら快適に暮らせる可能性もあります。築年数を単なる数字ではなく、予算とのバランスを考えるための目安として捉えることが、失敗しない部屋探しの第一歩です。
耐震性
安心して暮らすうえで、耐震性は見逃せないポイントです。建築基準法は時代とともに改正され、建物の強度に関する基準も大きく変わってきました。
目安として、建築確認日による耐震基準の違いは次のとおりです。
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1981年(昭和56年)5月以前に建築確認
→「旧耐震基準」。震度5程度までを想定しており、大地震では倒壊のリスクが高い場合も。 -
1981年6月〜2000年5月に建築確認
→「新耐震基準」。震度6強〜7程度でも倒壊しにくい構造。 -
2000年(平成12年)6月以降に建築確認
→「現行耐震基準」。地盤調査の義務化や基礎構造の強化など、より厳しい基準を採用。
築20年以上の物件でも、耐震補強工事の有無を不動産会社に確認すれば、安心材料になります。
水回りの綺麗さ
キッチン・浴室・トイレなどの水回りは、日々の暮らしの快適さを大きく左右するポイントです。
築年数が古い物件では、給排水管や設備の老朽化が進みやすく、水漏れやカビ、においの原因となることもあります。一方で、築20年以上の物件でも、リフォームや設備交換が行われていれば、新築同様に清潔で使いやすい状態が保たれているケースもあります。
内見の際は、見た目のきれいさだけでなく、蛇口や排水の水流、換気扇の作動音などもチェックしておくと安心です。築年数よりも、メンテナンスの丁寧さに注目することが快適な暮らしへの近道です。
築年数が古くても綺麗な物件を見つけるポイント
築年数が古い物件でも、実際の住み心地は「どのように管理されてきたか」で大きく変わります。数字だけでは分からない部分こそ、内見時や募集情報でしっかり確認したいポイントです。
ここでは、古い物件を検討する際に注目すべき具体的な視点として、「リノベーションの有無」 と 「定期的なメンテナンスの実施状況」の2点を取り上げ、見極め方のコツを紹介します。
リノベーションがされている
築年数の古い物件でも、内装や設備を大幅に入れ替えるリノベーションが行われていれば、快適さは大きく変わります。
特に、水回りや床・壁などの交換、間取りの変更を伴うリノベーションは、暮らしやすさを左右するポイントです。内装が新しくても、表面的なリフォームだけの場合もあるため、どの部分をどの程度改修しているかを確認しておくと安心です。
募集図面や内見時の説明で、リノベーション内容を具体的に把握することが大切です。
定期的にメンテナンスが行われている
築年数が古くても、定期的に点検や修繕が行われている物件は、安心して長く住めます。
外壁や屋根、防水、給排水管などの設備は外から見えにくいため、管理会社や仲介担当者に「いつごろ修繕を行ったか」「次回の予定はあるか」を確認するとよいでしょう。また、共用部分の清掃状態や掲示板の更新頻度、照明やポストまわりの管理状況からも、日常的なメンテナンスの丁寧さを読み取ることができます。
こうした小さなサインが、安心して暮らせる建物かどうかを見極める手がかりになります。
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まとめ
賃貸物件の築年数は、家賃や設備、安全性を判断するうえで大切な要素ですが、それだけで住み心地は決まりません。
管理状態やリノベーションの有無、耐震性、そして水回りの清潔さなど、築年数以外の要素も総合的に見ることが大切です。築年数が古くても、定期的にメンテナンスが行われていれば安心して暮らせる物件も多くあります。
また、築年数が古い物件は家賃を抑えられる傾向にあり、同じ予算でもより広い間取りや立地条件の良い部屋を選べる場合もあります。数字だけにとらわれず、実際の管理状況や修繕履歴を不動産会社に確認し、自分のライフスタイルや予算に合った"ちょうどいい築年数"を見極めましょう。
比較検討を重ねることで、納得できる住まいに出会えるはずです。
















