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京都の家賃はなぜ高い?5つの理由と安く住むための方法を解説
京都の家賃が高い理由を一言でいえば、需要に対して供給が構造的に足りていないからです。景観条例・学生需要・地価・古い建物のリノベーション費用・物件数の不足という5つの要因が重なり、京都の賃貸物件は絶対数が少なく、選択肢が限られる状況が続いています。
「なぜ高いのか」を理解すれば、賢い物件選びの判断軸が見えてきます。
本記事では5つの理由を構造的に解説し、それでも京都でできるだけ安く住むための実践的な方法を3つ紹介します。
目次
京都の家賃が高い理由は5つある【結論まとめ】
京都市内中心部の1Kワンルーム家賃は、東京23区中心部より低く、大阪市中心部とは同水準〜やや高めという位置づけです。それでも「割高感」が強いのは、後述する供給構造に原因があります。
京都の家賃が高い理由は、「需要>供給」という構造が恒常的に続いているためです。その背景には、以下の5つの要因が複合的に作用しています。各理由の詳しい解説は後の章で行います。
- 景観条例による高さ制限── 京都市が2007年9月から実施している新景観政策では中心部の大通り沿いでも31mまでという高さ制限があるため、1棟あたりの戸数が増やせず、賃貸市場に出回る物件数が限られます。
- 学生が多く、需要が恒常的に高い── 京都市の人口に占める大学・短大の学生数は10%超と全国政令指定都市で第1位。毎年新入学シーズンに大量の需要が発生し、家賃が下がりにくい構造です。
- 観光地ゆえに土地の価値が高い── 地価上昇が固定資産税に反映され、そのコストが家賃に転嫁されます。民泊やホテルへの転用も、住宅向け物件の供給をさらに圧迫しています。
- 古い建物が多く、リノベーション費用がかさむ── 京町家や古民家の改修には数百万〜数千万円の費用がかかることもあり、そのコストが家賃に乗ります。
- 物件の絶対数が少なく、選択肢が限られる── 上記の要因が重なり、東京・大阪と比べても同条件の物件数が少なく、入居者側の交渉力が弱くなりがちです。
理由① 建物を高く建てられない「景観条例」の影響
景観条例による高さ制限が、賃貸物件の供給量を構造的に抑えています。建てられる戸数に上限がある以上、需要が増えても供給は増やせず、家賃は下がりにくい状態が続きます。
京都市独自の高さ制限とは
京都市は2007(平成19)年9月に「新景観政策」を施行しました。これは、三方を山々に囲まれ、緑豊かな自然に調和した良好な町並み景観を守ることを目的に導入された、全国でも例を見ない厳格な建物規制です。
この政策の中核をなすのが、建築物の高さ規制の強化です。京都市内のエリアを、特性に応じて「高度地区」(建物の高さが制限される地区)に指定し、上限の高さを10m・12m・15m・20m・25m・31mの6段階に設定しました。(出典:「京の景観ガイドライン 建築物の高さ編」 京都市都市計画局都市景観部景観政策課発行)
たとえば、鴨川沿いや川端通に面した地域は最高12m(3〜4階建て程度)、四条河原町や四条烏丸の大通り沿いでも最高31mに制限されています。東京や大阪では当たり前の20〜30階建てのタワーマンションが、京都の中心部にはほとんど存在しない理由はここにあります。
なお、こうした規制は景観保全の観点から有効に機能してきた一方、市内中心部での住宅・オフィスの不足という課題も生んできました。そのため京都市は2023年以降、一部エリア(京都駅南側や阪急西院駅周辺の工業地域、山科区の環状線の一部など)で段階的に高さ制限の緩和を進めています。今後、緩和エリアでは供給が増える可能性があるものの、中心部の規制は依然として厳しい状況が続いています。
供給が増えないから家賃が下がりにくい
高さ制限があると、なぜ家賃が下がらないのでしょうか。仕組みはシンプルです。
建物を高く積み上げられなければ、1棟に入る住戸の数には自ずと限界があります。その結果、市場に出回る賃貸物件の総数が少なくなります。一方で、京都に住みたいという需要は毎年変わらず一定数あります。供給が少なく需要が多ければ、大家さんは「値下げしなくても入居者が来る」と判断できます。これが「需要>供給→家賃は下がらない」という基本的な経済の原則です。
将来的には、規制緩和による新規供給の増加が競争を生み、家賃への下押し圧力になる可能性もあります。ただし、その効果が市場全体に波及するには一定の時間がかかるでしょう。
理由② 学生が多く、賃貸需要が常に高い
京都市の人口に占める学生の割合は政令市で全国首位水準であり、この高い学生需要が家賃を高止まりさせています。毎年繰り返される需要の波が、大家側の値下げ判断を不要にしているのです。
全国トップクラスの学生比率
京都市には、京都大学・同志社大学・立命館大学・京都産業大学・龍谷大学など、全国的に知名度の高い大学が多数あります。その結果、人口約143万人のうち約14万人が学生であり、割合にして約10%を占めています(国勢調査・学校基本調査に基づく推計値)。人口1万人あたりの学生数は、政令市でも全国首位です。さらに、大学等進学率は政令市及び東京都区部の中で25年連続一位となっています。(出典:「令和5年度学校基本調査の集計結果」統計解析 No.147 京都市総合企画局デジタル化戦略推進室 情報統計・データ利活用推進担当発行)
ここで重要になるのが、学生の約半数が他府県からの進学者であるという点です。地元を離れて京都市内に転入してくる学生は、基本的には一人暮らしが前提となります。毎年一定数の「新たな部屋探し」が発生するため、賃貸市場には恒常的な需要が生まれ続けます。
需要が多いと家賃は下がらない
毎年2月から4月にかけて、京都の賃貸市場は一種の「争奪戦」の様相を呈します。入学・進学を控えた学生が一斉に物件を探し始めるこの時期、空室はたちまち埋まっていきます。
大家側からすれば、「値下げをしなくても入居者が決まる」状況であえて家賃を下げる必要はありません。繁忙期に家賃交渉が通りにくいのはこのためです。しかも、この需要は翌年も、その翌年も繰り返されます。
「毎年安定した需要がある→家賃の値下げ圧力が働きにくい」。この構造こそが、京都で家賃が高止まりする本質的な要因のひとつです。
理由③ 観光地として土地の価値が高い
観光都市としての高い地価が、固定資産税を通じて家賃に転嫁されています。さらに民泊・ホテルへの物件転用が住居向け供給を圧迫し、家賃を押し上げる二重の構造があります。
土地代が高いと家賃も高くなる仕組み
そもそも、家賃には「建物を使う対価」だけでなく「その建物が建っている土地を使う対価」も含まれています。大家さんが物件を維持・経営するうえで避けられないコストのひとつが固定資産税であり、その税額は土地の評価額(地価)に連動して決まります。地価が上がれば固定資産税も上がり、それが家賃に転嫁されるという連鎖が起きます。
京都市の地価は近年、観光需要と再開発の影響を強く受けるエリアで上昇傾向が続いています。京都府不動産鑑定士協会の令和8年地価公示分析によれば、京都市の商業地全体の平均変動率は+10.1%、観光資源が豊富な東山区の商業地は+14.4%、京都駅周辺の再開発が進む南区の商業地に至っては+19.6%という強い上昇率を示しています。府内最高上昇地点も京都駅南側八条口近辺で+22.0%を記録しました(出典:京都府不動産鑑定士協会「地価動向」 )。
「高い土地→高い固定資産税→高い家賃」という構造が、数字としても確認できます。
民泊・ホテルとの競合も影響している
観光都市特有の問題として、本来「住む人のため」であるはずの賃貸物件が、民泊やホテルへ転用されるケースがあります。
観光客向けの宿泊施設を運営する事業者は、通常の住居用家賃より高い賃料を支払える場合があります。そのため、大家さんが収益性の観点から住居用ではなく宿泊用途に物件を回す誘引が生まれます。結果として「住むための物件が減る→残った物件の家賃が上がる」という連鎖が起きます。
インバウンド需要が回復・拡大している現状を踏まえると、この競合関係は今後も続く可能性があります。住居需要と宿泊需要が同じ物件を取り合う構造は、京都の賃貸市場が抱える課題のひとつです。
理由④ 古い建物が多く、リノベーション費用がかさむ
京都では「古いから安い」は通用しません。京町家・古民家の改修には500〜2,000万円以上かかるケースもあり、そのコストが家賃に反映されるため、築年数が古くても家賃が高止まりします。
築古物件でも家賃が下がりにくいワケ
京都市内には、歴史ある京町家や古民家が多く残っています。こうした建物は築数十年、場合によっては100年を超えるものも珍しくありません。そのまま貸し出される事例もありますが、現代の居住水準(断熱・耐震・水回り)に合わせるには、多くの場合リノベーション(大規模改修)が前提となります。
問題は、そのコストです。京町家や古民家のフルリノベーションには、構造補強・耐震改修・配管・電気設備の更新・内装工事などを含めると、500万円から2,000万円以上かかるケースも珍しくありません。大家さんはそのコストを長期間にわたって家賃から回収しなければならないため、「建物が古いから安くする」という選択が難しくなります。
さらに、「古くても立地が良い」物件には一定の需要があり、家賃が下がりにくい市場原理が働きます。京都の賃貸市場では、築年数の古さが家賃ディスカウントに直結しにくい、というのが特性です。
理由⑤ 物件の絶対数が少なく、選択肢が限られる
京都市内の賃貸物件は絶対数そのものが少なく、借り手側の選択肢が限られる構造になっています。これが、家賃交渉が成立しにくく相場が高止まりする最後の決定打です。
なぜ物件数が少ないのか。理由は3つの要因が重なるためです。第一に、景観条例による高さ制限で1棟あたりの戸数が増やせないこと。第二に、民泊・ホテルへの転用で住宅向け供給がさらに圧迫されること。第三に、地価が高く新規開発のコストが回収しにくいことです。
結果として「この物件しかない」という状態になれば、入居者は家賃交渉の余地を失い、大家側は値下げをする必要がなくなります。これが京都の賃貸市場で借り手が交渉力を持ちにくい根本要因です。
以上、①〜⑤の5つの理由が複合的に絡み合い、京都の家賃を押し上げています。構造が見えたところで、次は「どうすれば安く住めるか」の話に移りましょう。
それでも京都で安く住む3つの方法
家賃が高い京都でも、「エリアを選ぶ」「時期をずらす」「条件を見直す」という3つの工夫で家賃の負担を抑えることができます。どれかひとつ実践するだけでも、月々支払う家賃を下げることができます。
家賃が安いエリアを選ぶ
京都市内でも、エリアによって家賃相場は大きく異なります。下京区・中京区・東山区など街中や観光地に近いエリアは地価も高く、1Kでも6万円前後になることが多い一方、北区・伏見区・南区・山科区・西京区などは相対的に家賃が抑えられます。たとえば北区では1Kの相場が4万円台前半、伏見区・山科区・西京区も4〜5万円台が中心です。
地下鉄や阪急・近鉄・JRなど複数の路線が通っているエリアを選べば、中心部へのアクセスを保ちながら家賃を抑えることが可能です。
さらに視野を広げると、京都府内の亀岡市や南丹市では家賃相場がさらに下がります。JR山陰本線(嵯峨野線)を使えば京都駅まで30〜40分程度でアクセスでき、家賃を市内の7〜8割程度に抑えられるケースもあります。
各エリアの具体的な家賃相場は、当社の家賃相場ページでご確認いただけます。
京都の家賃相場一覧はこちらから:間取り・エリアで比べてわかる京都の家賃相場
引越し時期をずらす
2〜4月は、学生の入学・就職に伴う引越しが集中する「繁忙期」です。この時期は需要が急増し、大家さんや管理会社は「値下げしなくても入居者が来る」という心理になります。そのため、家賃交渉はほぼ期待できません。
一方、5〜8月の「閑散期」は空室が埋まりにくくなるため、交渉が通りやすくなります。「フリーレント」(入居後一定期間の家賃が無料になる特典)や、月々の家賃の値下げ交渉が受け入れられるケースも増えます。
「いつ引っ越すか」が、同じ物件でも実質的な負担額に大きく影響します。スケジュールに多少の柔軟性があるなら、ぜひ時期を意識してみてください。
条件の優先順位を見直す
家賃を下げるためにできることは、エリアや時期の工夫だけではありません。物件に求める条件を見直すことも、有効な手段のひとつです。
まず「絶対に譲れない条件」と「あれば嬉しい程度の条件」を書き出してみましょう。たとえば以下のような条件を緩めるだけで、選べる物件の幅が広がり、家賃が月1万円単位で下がることも珍しくありません。
- 築年数を問わない:リノベーション済みの物件なら、築古でも内装は十分きれいです
- 駅徒歩15分まで許容する:徒歩10分以内の物件に比べ、家賃が5,000円程度下がるケースも
- バス・トイレ別にこだわらない:ユニットバスは家賃を抑えやすい条件のひとつです
全部妥協する必要はありません。1〜2つの条件を緩めるだけで家賃が変わることがあります。「何を優先し、何を手放せるか」を整理するだけで、選択肢は一気に広がります。
まとめ
京都の家賃が高い根本的な理由は、「需要は多いのに、供給が構造的に増えない」ことにあります。5つの要因を整理すると、以下のとおりです。
- 景観条例による高さ制限:新景観政策(2007年〜)により建物の高さは最低10mから段階的に規制され、物件の供給数が増えにくい
- 学生人口の多さ:政令市で全国首位水準の学生比率により、毎年一定の賃貸需要が生まれ続ける
- 観光地としての地価の高さ:地価上昇が固定資産税・家賃に転嫁され、民泊との競合も供給を圧迫
- リノベーション費用の高さ:古い建物の改修に数百〜数千万円がかかり、家賃に反映される
- 物件の絶対数の少なさ:上記が重なり、借り手側の交渉力が弱くなる
これらの背景を理解したうえで、「安いエリアを選ぶ」「閑散期に引っ越す」「条件の優先順位を見直す」という3つのアプローチを組み合わせることで、少しでも家賃の負担を抑えることが可能です。
京都での物件探しでお悩みの方は、ぜひ当社までご相談ください。地元に根ざした知識とネットワークで、あなたに合った物件をご提案します。
京都の家賃がなぜ高いかについてよくある質問
Q1. 京都の家賃は東京や大阪より高いですか?
A.概には言えませんが、東京23区の中心部よりは低く、大阪市の中心部とは同程度か、物件によっては京都の方が高くなるケースもあります
同じ間取り・条件で比較すると、京都は供給の少なさゆえに割高感が出やすいのが実情です。
Q2. 京都でも家賃が安い区はありますか?
A.あります
市内では北区・伏見区・南区・山科区・西京区などが比較的リーズナブルです。各区の相場は当社の家賃相場ページでご確認いただけます。
京都のエリアから物件を探す→こちらから
Q3. 学生向けの物件は一般的な賃貸より安いですか?
A.必ずしもそうとはいえません
京都では学生需要が旺盛なため、学生向けを謳う物件でも相場は高めに設定されているケースもあります。学生向けかどうかよりも、エリアや条件で比較することをおすすめします。
Q4. いつ引っ越すのが一番お得ですか?
A.5〜8月の閑散期が狙い目です
空室が埋まりにくい時期は交渉余地が生まれやすく、フリーレントや家賃値下げが認められるケースも増えます。詳しくは「引越し時期をずらす」の章をご参照ください。
















